今回は「プロとアマの違い」について書きます。まずは前半です。

「プロとアマの違い」。僕は学生に対して、このことを徹底的に話すようにしています。じゃあ、「プロフェッショナルとは一体何か？」と言うと、対価(お金）をもらって仕事をやる。シンプルに言うとこういうことなんですが、そこには責任が伴います。

コンサートの場合、ステージスタッフ、モニターエンジニア、FOHエンジニアなど、それぞれ役割を持った人がいるわけですが、ステージでマイクやアウトスピーカーを結線する人は接続先を間違ってはいけないし、モニターエンジニアはちゃんとステージ上の演者が納得するようにモニターを返さなければいけない。そしてFOHは、お客さんがお金を払ってくれてコンサートに来ているわけなので、それに見合った音を聞かせなくてはならない。当たり前な話ですが、それぞれプロとしてやらなければならないことが存在しています。

でも、アマチュアの場合、ちょっと言い方が悪いですが「正直誰でもいい。あなたじゃなくて別の誰かでもいい。」そういういうことなんです。

だから僕は「この仕事はあなたじゃなきゃダメなんです。」という意識を持って作業する姿勢を学校で教えています。この「プロとアマの違い」をはっきり認識させて育てていかないと、現場に出た時の責任感が生じないんです。「ただ言われたから現場に来ました。」じゃだめで、「あなたは何のためにここに来ているのか。」という意識を持つことを教えています。

専門分野外のところから会社に入ってくる若い人もいますが、現場に出る前に、同じことをちゃんと教えます。でないと、現場に連れて行くことはできない。現在は昔と時代も変わったので、長く厳しい修行期間を設けるわけでもないんですが、僕の場合、最低でも1ヶ月は倉庫作業をさせ、倉庫内のどこに何の機材が置いてあるのか、加えて、その機材は何のためにあるのか、ということをきっちりと理解させてから現場に連れて行くようにしています。それも「プロとアマの違い」を認識してもらうための一環です。

アマチュアからプロフェッショナルに移行するためには、その人の価値観の変化が求められるという事だと思います。その価値観のシフトを経た人でなければお金がもらえない。それがプロとしての大前提です。ここまで話したことは、至極当たり前のことなので、「今さら何を」と思う人もいるかもしれませんが、じゃあ「プロとして、その先は？」といったことを次回話しますね。